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特定技能が見直される?
特定技能制度を導入する産業分野は、農業や漁業など、少子高齢化の影響やそれぞれの分野の事情等により、労働者を募集してもなかなか雇用できない深刻な人手不足にある産業分野に、即戦力となる技能水準を有する外国人(一定の技能評価試験の合格者など)を雇用できるようにした制度です。
特定技能制度開始時、各産業分野の事業展開などの推移とそれに伴う人手不足を想定して設定した受入れ人数は、5年間で約34万人を想定してしましたが、2021年8月末時点では、3.5万人のようです。また、昨年からの新型コロナウィルスによる入国制限などにより、外国人の就労者が激減しており、なおも人手不足は深刻です。
一部の新聞報道によりますと、2022年度からの適用に向けて、特定技能制度の見直しが検討されていることのようです。
検討の内容は、現在、建設分野と造船業・舶用工業分野で導入されている「特定技能2号」を、「特定技能1号」のみ認められている他の分野にも拡大しようというもののようです。
検討のポイントとは?
「特定技能2号」を他の産業分野に拡大?
特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」があり、特定技能1号は、自身が持つ知識や経験をもとに指示監督を受けて作業する立場ですが、特定技能2号は、熟練した技能を作業だけに充てるだけでなく、複数の技能者に作業を指示し、作業工程表を管理する監督的立場、いわゆる職長の役割も果たすことになります。
現在、特定技能制度を導入する産業分野は、介護はじめ14の産業分野ですが、「特定技能1号」外国人は、全ての分野に、「特定技能2号」外国人は、「建設分野」と「造船・舶用工業(溶接)」にのみ導入されています。
今回の見直しでは、現在導入されていない他の産業分野(他の制度で長期就労の可能性のある介護は除かれる見込み。)にも「特定技能2号」を導入する方向のようです。
改正で何がどう変わる?
「特定技能2号」の他の分野への拡大は、「特定技能2号」の特徴である在留期間なしと家族帯同が認められることであり、各産業分野において、長期的かつ安定的に人手不足の補充に改善が期待されるものと思われことから、特定技能外国人ばかりでなく、雇用主にもメリットが大きいものとなります。
(1)在留期間の上限がなくなる。
「特定活動1号」外国人の在留期限は、最長5年であり、この期限が過ぎると、基本的には帰国する必要があります。しかし、「
特定技能2号」外国人には、在留期限の上限がないことから、本人には長期の雇用が期待でき、雇用主にとっても長期的な展望に立って有力な人材として育成しながら長期間の雇用を安定的に行うことができることになります。
(2)本国の家族とともに日本で暮らせる。
本国から家族を呼び寄せることが可能となりますので、公的な面では、自身の業務上の知識や技能をより高めるばかりでなく、私的な面では、家族との日常生活により心身面で充実することによって、相乗効果が出てくるかもしれません。
まとめ
各分野において、「特定活動2号」外国人が増えれば、在留期間の制約がなく、従事する分野の知識や技能技術の向上を長期の自己目標を設定しながら、より研鑽することが可能であり、また、家族とともに生活することを通して日常生活面においても充実することにより、業務に欠かせない人材が育つことが期待され、今なお人手の確保で苦労する雇用主にとっても長期的、安定的に雇用計画が立てられるものと思われます。
しかし、法務省のQAによれば、「特定技能2号」は、「特定技能1号」を経れば自動的に「特定技能2号」に移行できるわけでもなく(2号に要求される職長レベルの実績が1号では想定されていませんので、その経験はどのようにして積むのか不明瞭に思われます。)、また、「特定技能1号」を経なくても要求される技能が証明されれば在留資格を取得できるとされていますが、現状においては、特定技能2号の評価試験についての情報が極めて少なく、また、2021年9月時点での「特定技能2号」の在留資格者は0人であることから、今回の見直しが他の産業分野に拡大するという意義と効果が、報道限り(11/18の官房長官の記者会見を含め)では判然としないところです。
特定技能1号の5年の上限を見直すという方向性であれば、大きな影響があるかもしれません。
いずれにしましても、このような見直しは、永住の在留資格取得への道が広く開かれる可能性があり、経済、歴史、文化、伝統、人種、政治面からのさまざまな考え方や意見が錯綜するなかでの入管政策のあり方にもかかわることでもあることから、来年の3月までには議論の紆余曲折を経て一定の方向性が出されることと思われますので、詳細がわかりましたら、こちらで情報をアップします。
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