特定技能の手続き

特定技能所属機関の随時届出no.3 ー雇用契約の終了ー

投稿日:2023年3月31日 更新日:

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はじめに

特定技能外国人を雇用する中で、雇用の前提となる条件に変更が生じたら、14日以内に出入国在留管理局に届出が必要となります。

どのような事由が生じたら届出が必要になるのかは、「特定技能所属機関は、どういうときに届出が必要になるのですか?(随時届出)」で概要を説明しましたとおり、

ア 就業場所や労働時間などの雇用条件を変更したとき

イ 契約期間の最終日が到来する前に雇用契約を終了したとき

ウ 特定技能外国人本人や所属機関の都合により特定技能外国人の雇用ができなくなったとき

エ 雇用契約終了により新たに雇用契約を締結したとき

オ 所属機関に出入国管理又は労働関係法令違反等があったとき

カ 支援体制に変更があるとき

が対象となります。

このうち、アの雇用条件の変更については、2つに分けて説明しました(「こちら」と「こちら」をご覧ください)。

今回は、イ、ウの特定技能雇用契約で定められた期間を終了または期限の到来を待たずに雇用関係を終了する場合についての説明です。

 

雇用契約が終了するパターン

雇用期間の満了

所属機関と特定技能外国人との間で取り交わされた雇用契約には、雇用する期間を定めており、その期間は、特定技能外国人にとっては、支援計画の実施を受けながら生活基盤を安定させながら、期待された知識や技術をフルに活用して業務に専念できます。

雇用者側である所属機関としても、特定技能外国人の持つ知識や技術を活用して、事業を維持するばかりでなく、これをステップとして事業拡大を目指すこともできます。

しかし、この雇用契約期間は無期限ではなく、個々の雇用契約で設定されたており(特定技能1号であれば、5年間が上限)、その雇用期間が到来すれば、新たな雇用契約を締結しない限り終了してしまします。

終了すれば、事由の発生後14日以内に届出することになります。

届出に必要な書類

特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書(参考様式第3-1-2号)

・契約所定の雇用期間を更新することなく予定通りに満了したことにより、両者の間に雇用関係が終了する場合においては、雇用契約終了年月日、終了事由の届出が必要です(本届出書は、のちに述べる受入困難による契約終了の場合にも提出することとなっています)。

1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託していたときは、対象の外国人にかかる登録支援機関との委託契約が終了することとなるため、当該登録機関の情報も届け出ることとなります。

雇用期間が終了しても、特定技能外国人が、新たな所属機関と雇用契約を成立させること(在留資格変更手続き後による同じ産業分野や他の産業分野への転職など)や帰国することがあるため、予定通りの期間終了であっても必ずこの届出が必要です。

さらに、建設分野にあっては、国土交通大臣あてに1号特定技能外国人の退職報告書をすみやかに提出することが必要です。

受け入れ困難事由の発生

しかし、この設定された雇用期間を待たずに終了する場合があります。

所属機関、特例技能外国人のいずれか、あるいは双方に、予期しない事由が発生したために、雇用契約を維持することが困難になれば、雇用期間の途中でも解除(終了)せざるを得ない場合が出てくることもあります。

この場合、特定技能外国人にとっては、その後の生活設計にも大きくかかわる問題ですので、可能な限り、本人の意思を確認し、転職支援等の善後策に努めることが重要です(ハローワーク、同業他社、各分野特定技能協議会等での情報交換、国・地方自治体のマッチング支援サイト(例1例2)の活用、帰国支援等)。

受入困難となる主な事由

所属機関の都合で発生する事由と特定技能外国人の都合で発生する主な事由は、下表のとおりです。

  事     由
所属機関 経営上の都合(例、事業縮小、倒産、解散、個人事業者自身の死亡等)、所属機関としての基準不適合(出入国、労働関係法令等の違反による欠格事由該当)など
特例技能外国人 死亡、傷病、行方不明、重責解雇、自己都合退職、他の在留資格への変更、行方不明など

所属機関の問題として大きなものは、事業存続そのものを左右させる事由です。諸般の事情による事業そのものの廃止や事業の見直しによる人員整理などが想定されます。

また、特定技能所属機関やその役員として、要求される適格性要件(これについては、「はじめに」の項のオに該当しますので、別途説明します。)を欠くような事例を行い行政当局の処分により特定技能所属機関としての受入停止措置を受けることも対象となります。

一方、特定技能外国人による事由としては、本人の死亡や病気、けがの療養による就労困難、転職、帰国など本人からの申出による自己都合退職、さらには職場離脱による行方が不明になったときなどがあります。なお、雇用は継続するものの特定技能から他の在留資格(日本人の配偶者等、技・人・国など)に変更になった場合も受入れ困難届け、雇用契約終了届が必要になります。

そのほかにも、一時帰国等のため一度雇用契約を終了(たとえ再雇用する予定があったとしても)、再入国許可(みなし再入国許可を含む。)を受けずに出国、再入国許可(みなし再入国許可を含む。)を受けて出国したが、許可期限内に再入国しなかった場合にも特定技能雇用契約が終了したとして届出が必要になります。

これらの事由が発生したときは、事由の判明した日から14日以内に(契約の終了がある程度見込まれる時点(退職の申出については、申し出のあった時点で、行方不明は事実発生の時点で))届け出ることが必要です。

参考【行方不明の状況】

2021年において、特例技能外国人の行方不明者数は76人(国籍では、ベトナム44人、カンボジア11人、インドネシア8人、タイ8人、中国4人、ネパール1人)であり、特例技能外国人全体の0.14%を占めます。

産業分野別では、農業23人、飲食料品製造業22人、建設14人、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業8人、介護5人、ビルクリーング2人、漁業2人です。

届出に必要な書類

特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書(参考様式第3-1-2号)

内容は、上記のとおり。

・受入れ困難に係る届出を提出した後に、事情の変更等により、特定技能雇用契約が継続することになり、特定技能雇用契約が終了しなかった場合には、提出する必要はありません。ただし、復職した経緯等について、地方出入国在留管理局に対し、受入れ困難届出の追加書類として事情を説明する文書の提出が必要です。

受入れ困難に係る届出書(参考様式第3-4号)

・受け入れ困難事由発生により、契約所定の雇用期間の終了をまたずに両者の間の雇用関係が終了する場合においては、

所属機関の都合 特定技能外国人の都合
届け出る特定技能外国人の属性(氏名、生年月日、住居地、在留カード、特定産業分野・業務)
困難事由(経営上の都合、基準不適合、個人事業者の死亡、その他)  困難事由(死亡、病気、けが、行方不明、重責解雇、本人申出の自己都合退職、その他)
事 由 発 生 年 月 日
事案の概要(20文字を超えるときには、任意の別紙にまとめ添付)   
 特定技能外国人の現状(連絡の可否)

特定技能外国人に対して行った受入れ継続のための措置

・活動継続の意思  あり→復帰予定の有無 意思なし(転職、帰国希望)など

  ・措置内容     雇用継続、転職支援実施、帰国支援実施、雇用契約解除など

受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(参考様式第5-11号)

●具体的な事情(特定技能外国人の都合による場合は、事由発生までの経緯、発生後の所属機関の対応、自己都合退職、重責解雇の理由)

●受入れ困難となるに至った後の対応等
 ・特定技能外国人から退職相談の有無、相談があった場合の対応

 ・転職先、転職予定年月日(退職後、転職する予定あるとき)

 ・支援内容(転職支援を実施するとき)

 ・退職後に帰国を希望している理由

 ・帰国予定年月日、航空券の手配状況(帰国支援するとき)

 ・転居先(退職後に転居予定があるとき)

●特定技能外国人の連絡先
 ・連絡可能な電話番号、連絡先の名称(特定技能外国人が電話番号を不保有の場合)

●復帰の予定
 復帰予定ありとするときの復帰予定年月日  月 日

●特定技能外国人の法的保護のための案内実施の有無
 ・ハローワーク等を利用して転職先を探すことが可能であることについて案内(同分野で就労を希望するとき)
 ・転職には、在留資格変更許可申請が必要であることの案内
 ・住居地を変更しての移転は、その日から14日以内に市町村への届出が必要との案内
 ・在留資格変更許可又は資格外活動許可なくしての稼働は、在留資格の取消しや退去強制となることの案内
 ・正当な理由なく特定技能外国人としての活動を行わず3か月以上在留していると、在留資格の取消しの対象となることの案内
 ・特定技能1号で在留できる期間は、許可された在留期間を通算して5年が限度で、退職後の転職活動等期間や再入国許可(み  なし再入国許可を含む。)による出国期間もこれに含まれることの案内
 ・特定技能外国人本人から出入国在留管理庁へ特定技能雇用契約終了の届出が必要なことの案内

 

 

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