特定技能外国人を雇用する中で、雇用の前提となる条件に変更が生じたら、14日以内に出入国在留管理局に必要な届出が必要となります。
どのような事由が生じたら届出が必要になるのかは、「特定技能所属機関は、どういうときに届出が必要になるのですか?(随時届出)」で概要を説明しましたとおり、就業場所や労働時間などの雇用条件を変更したとき、契約期間の最終日が到来する前に雇用契約を終了したとき、雇用契約終了により新たに雇用契約を締結したとき、支援体制に変更があるとき、本人や所属機関の都合により特定技能外国人の雇用ができなくなったとき、所属機関に出入国管理又は労働関係法令違反等があったときに届出が必要となります。
このうち雇用条件変更の就業場所を変更したときについては、「こちら」をご覧ください。
今回は、就業場所の変更以外の雇用条件の変更で届出が必要となる場合についての説明です。
従事する業務区分を変更
一定レベルの知識と技術をもとに認められた特定技能として特定の産業分野の業務に従事するものですが、必ずしも一つの分野の業務に従事することではありません。一人の外国人が複数の特定技能資格を有し、現に複数の分野で就労する場合もあるでしょう。
こういう中でたとえば飲食料品製造業と外食業の両分野に従事するとして、主分野を外食業、従分野を飲食料品製造業として在留資格認定証明書交付申請すれば指定書にはそのように記載されていますので、その後に諸般の事情から主従を入れかえて就業させるときや、たとえば農業分野の耕種農業全般の業務に従事していた者が、畜産農業全般に変更するような同一分野内での従事業務区分を変更するときに届出が必要となります。
これは、特定技能外国人が従事しようとする業務に必要な技能水準を有することを確認するためのものです。ですから、資格のない産業分野での業務に従事させようとするときは、その産業分野に必要な一定の試験合格なり技能実習の修了など一定の知識能力評価を得て、あらためて在留資格変更許可申請をする必要があることは言うまでもありません。
なお、介護、ビルクリーニング、宿泊、飲食料品製造業、外食業の各分野については、業務区分が一つしかないため、同一分野内で従事する業務区分の変更には該当しません。
この場合、その業務に必要な業務区分に応じた技術水準を示す証明する資料の添付が必要です。
労働時間等の変更
労働時間などに関して、以下の事項について変更あるときに、届出が必要となります。
変形労働時間制(1年単位の変形労働時間)を採用・廃止したとき
労働時間の原則は、休憩時間を除いて1日8時間以内、1週間に40時間以内とされています。しかし、諸事情により、事業の運営上これによれない場合には、所定の手続きを経て、1か月単位(労基法第32条の2)または1年単位(同法第32条の4)の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制(同法第32条の5)そしてフレックスタイム制(同法第32条の3)が認められています。
このうち、届出が必要になるのは、1年単位の変形労働時間制の採用時または廃止時です。
一年単位の変形労働時間制とは、ある事業所の業務量が時季によって大きな差があるような場合、その変動に応じて必要な就労者数を増減するよりは、繁忙期には長時間の労働時間で就労させ、反面、閑散期には、短い労働時間の就労とすることで、合理的効率的に年間の総労働時間の短縮を図る制度です。
この制度では、1か月を越え1年以内の一定の期間の1週間当たりの平均労働時間が40時間以下の範囲内になるよう、特定の日又は週に、1日8時間あるいは1週40時間の原則(労基法第32条)を超えて一定の限度で労働させることができます。
ただし、この変形労働時間制を採用するには、所定事項(対象者の範囲、対象期間、起算日、特定期間、労働日、労働時間、労使協定の有効期間の5項目)を労使協定や就業規則で定め、所管の労働基準監督署に届け出ることが必要です。
この制度を採用したり廃止したりしたときには、労基署に届け出た協定書の写しを添えます。
所定の労働時間数や労働日数を変更したとき
労働時間数、労働日数は、就労する従業員には重要な雇用条件の一つですので、当然、法定内の時間数や日数範囲ですが、変更があれば届出が必要です。
これまでの始業・終業時間を変更しても所定の労働時間変更しない場合は届出を要しません。
所定の労働時間を変更しないが、固定方式から交代制勤務方式に変更するときは、届出が必要となります。
所定労働時間がフルタイムでなくなったとき
本来、特定技能の勤務形態は、直接雇用によるフルタイム勤務ですので、労働日数が週5日以上、年間217日以上で、かつ、週労働時間が30時間以上であることをいいます。
この前提であるフルタイムでなくなると、特定技能外国人の雇用そのものに大きな影響をもたらします。フルタイムでなくなったやむを得ない特殊事情や背景をていねいに説明する理由書の提出が必要です(事前に出入国在留管理局とコンタクトすることが望まれます)。
年間の休日数が減少したとき
年間の休日について、合計日数が当初の雇用契約に定める日数より減少したときには、届出が必要になります。
年間の休暇日数を減らしたとき
有給休暇や就業規則等で定める特別休暇について、年間の休暇日数を当初の契約より減らすときには、届出が必要です。
賃金に変更があったとき
出入国在留管理局に提出してある雇用条件書の賃金欄に変更が生じたときは、届出が必要です。
賃金の変更に該当する場合にはいろいろあります。たとえば昇給による場合、日給制から月給制、時間給制から月給制等に切り替えた、最低賃金の改定による賃金改定、所定の諸手当の支給・廃止、増加の伴う賃金からの控除、固定残業代制度の導入・廃止、賞与の不支給(雇用条件書に不支給を想定していないとき)などです。
また、賃金支払日の変更をしたことにより前後の給料の支払日が1か月以上開くときも届出が必要です。
また、在留申請時に比較対象とした日本人の賃金改定等に伴い特定技能外国人の賃金も変更になったときに特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)も提出します。
退職に関する事項
出入国在留管理局に提出してある雇用条件書のうち、退職に関する事項欄に変更が生じたときに届出が必要です。
社会保険、労働保険の適用状況等
社会保険(健康保険、厚生年金保険)適用事業所への変更
法人や農林水産業などの一部(法定16業種以外の業種)を除く常時5人以上の従業員を使用する個人事業所は、健康保険、厚生年金保険に加入する義務がありますので、たとえばこれまで従業員が常時1~4人の事業所が、人員増強により5人以上になれば非適用事業所から強制適用事業所になり、逆に人員整理等により4人以下になれば非適用事業所となります。
このときには、その旨を届出ます。なお、非適用事業所であっても所定の手続きにより任意適用事業所となることができます。
労働保険(労災保険、雇用保険)適用事業所への変更
労働保険とは労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を指し、農林水産事業の一部を除き、労働者(パートタイマー、アルバイト含む。)を1人でも雇用すると、業種、規模を問わず適用事業所となり、加入(成立)手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません。
この場合、労働保険料等納付証明書(未納なし証明)、労働保険関係成立届の写し、労働保険の概算保険料申告書の写し等の提出が必要です。
定期健康診断の実施間隔を1年を超える期間に変更
初回の定期健康診断から1年を超える時間ごとに実施するとした場合も届出が必要です。
その他、帰国担保措置を変更するときも届出なければなりません。
共通の提出書類
上記のような事例では、基本的には、以下の書類が必要で、加えて上記の個々の書類を添付する必要があります
以下の内容は、就業場所の変更での説明と同じです。
特定技能雇用契約の変更に係る届出書(参考様式第3-1-1号)
届出の対象者の属性
氏名、性別、生年月日、国籍・地域、住居地、在留カード番号、特定産業分野、業務区について記入します。
届出の対象者が複数人あるときは、それぞれの特例技能外国人についての届出事項を連記できる「特定技能雇用契約に係る届出書(別紙)」(参考様式第3-1号(別紙))があります。
特定技能雇用契約の変更内容
変更年月日、変更事項、変更内容
雇用契約期間、就業の場所、従事すべき業務の内容、労働時間等、休日、休暇、賃金、退職に関する事項、その他(社会保険・労働保険の加入状況、健康診断、帰国担保措置)
*変更後の雇用条件書(参考様式第1-6号、別紙を含む。)の添付も必要です。
(変更があった部分だけを記載又は既にある雇用条件書に朱書き修正した形のもの)
変更後の雇用条件書の署名は、対象の特定技能外国人本人が、内容を十分に理解できる言語で翻訳、説明したうえで、本人の理解を確認することが必要です。
これは、変更内容を明らかにするだけでなく、本人に変更を通知し、同意を求めるためと十分に理解したことを確認するためです。
届出をする所属機関の属性
法人番号(法人以外は空白)、機関の氏名・名称
機関の住所(本店又は主たる事務所)
担当者氏名、電話番号
本届出書作成者の署名/作成年月日
・本書を作成できるのは、所属機関の役職員のほか委任を受けた行政書士、弁護士に限られます。登録機関に支援の実施を委託していても作成はできず、適正な届出をしたものとは扱われません。
雇用条件書(参考様式第1-6号)
以下の事項について、変更のあった事項を記載します。
また、変更した内容は、本件届出対象の特定技能外国人が十分に理解できる言語に翻訳、説明し、内容を理解を確認したうえで、本人の署名を受けることが必要です。
届出事項
雇用契約期間
開始時期と満了時期の具体的な年月日を記入します。
契約の更新の有無
□自動的に更新 □更新する場合がある(更新判断基準を選択:契約満了時の業務量 勤務成績・態度、業務遂行能力、会社の経営状況、業務の進捗状況、その他) □契約は更新しない の該当するものを選択
就業場所
(1)直接雇用のときは、事業所名、所在地、連絡先(複数の所に就業するときは、主要場所を記入し、残りの事業所を別紙にまとめ添付)、所在地、連絡先
(2)派遣雇用のときは、就業条件明示書に記入
従事すべき業務の内容
該当する産業分野、業務区分を記入します。
労働時間等
以下の項目について記入します。
(1)始業・終業の時刻等 始業 ( 時 分) 終業 ( 時 分) (1日の所定労働時間数 時間 分)
(2) 変形労働時間制:( )単位の変形労働時間制
※ 1年単位の変形労働時間制を採用しているときには、本人が十分に理解できる言語を併記した年間カレンダーの写しと労働基準監督署へ届け出た変形労働時間制に関する協定書の写しを添付
(3) 交代制として、次の勤務時間の組合せ
始業( 時 分) 終業( 時 分) (適用日 、1日の所定労働時間 時間 分)
始業( 時 分) 終業( 時 分) (適用日 、1日の所定労働時間 時間 分)
始業( 時 分) 終業( 時 分) (適用日 、1日の所定労働時間 時間 分)
(4)休憩時間 ( 分)
(5)所定労働時間数 ①週( 時間 分) ②月( 時間 分) ③年( 時間 分)
(6)所定労働日数 ①週( 日) ②月( 日) ③年( 日)
(7)所定時間外労働の有無
詳細は、就業規則 第 条~第 条
(8)休日
定例日:毎週 曜日、日本の国民の祝日、その他(夏季休暇 日、年末年始 日) (年間合計休日日数 日)
非定例日:週・月当たり 日、その他( )
詳細は、就業規則 第 条~第 条
(9)休暇
年次有給休暇 6か月継続勤務した場合 日
継続勤務6か月未満の年次有給休暇有無 有: か月経過で 日
その他の休暇 有給( 休暇) 無給( 休暇 )
一時帰国休暇 本人が一時帰国を希望した場合は、上記休暇の範囲内で必要な休暇を取得
詳細は、就業規則 第 条~第 条
賃金
以下の項目について記入します。
(1)基本賃金 □月給( 円) □ 日給( 円) □ 時間給( 円)
※詳細は別紙のとおり
(2)諸手当(時間外労働の割増賃金は除く)( 手当、 手当、 手当)
※詳細は別紙のとおり
(3)所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率
①所定時間外 法定超月60時間以内 ( )%、法定超月60時間超 ( )%、所定超 ( )%
②休日 法定休日 ( )%、 法定外休日 ( )%
③深夜 ( )%
(4)賃金締切日 □ 毎月 日、 □ 毎月 日
(5)賃金支払日 □ 毎月 日、 □ 毎月 日
(6)賃金支払方法 □ 口座振込 □ 通貨払
(7)労使協定に基づく賃金支払時の控除 □ 無 □ 有
※詳細は別紙のとおり
(8)昇給 □ 有(時期、金額等 ) □ 無
(9)賞与 □ 有(時期、金額等 ) □ 無
(10)退職金 □ 有(時期、金額等 ) □ 無
(11)休業手当 □ 有(率 %)
退職に関する事項
(1)自己都合退職の手続(退職する 日前に社長・工場長等に届けること)
(2)解雇の事由及び手続
解雇は、やむを得ない事由がある場合に限り少なくとも30日前に予告をするか、又は30日分以上の平均賃金を支払って解雇する。特定技能外国人の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合には、所轄労働基準監督署長の認定を受けることにより予告も平均賃金の支払も行わず即時解雇されることもあり得る。
詳細は、就業規則 第 条~第 条
その他
以下の項目について、記入します。
(1)社会保険の加入状況・労働保険の適用状況
厚生年金 、 健康保険 、 雇用保険 、 労災保険 、 国民年金 、 国民健康保険 、その他( )
(2)雇入れ時の健康診断 年 月
(3)初回の定期健康診断 年 月 (その後 年 ごとに実施)
(4)本契約終了後に乙が帰国するに当たり、乙が帰国旅費を負担することができないときは、甲が当該旅費を負担するとともに、帰国が円滑になされるよう必要な措置を講じることとする。
別紙 賃金の支払
以下の項目について、記入します。
(1)基本賃金
□ 月給( 円) □ 日給( 円) □ 時間給( 円)
※月給・日給の場合の1時間当たりの金額 ( 円)
※日給・時間給の場合の1か月当たりの金額( 円)
(2)諸手当の額及び計算方法(時間外労働の割増賃金は除く。)
① ( 手当 円/計算方法: )
② ( 手当 円/計算方法: )
③ ( 手当 円/計算方法: )
④ ( 手当 円/計算方法: )
(3)1か月当たりの支払概算額(1+2) 約 円(合計)
(4)賃金支払時に控除する項目
① 税 金 (約 円)
② 社会保険料 (約 円)
③ 雇用保険料 (約 円)
④ 食 費 (約 円)
⑤ 居 住 費 (約 円)
⑥ その他 (水道光熱費) (約 円)
( ) (約 円)
( ) (約 円)
( ) (約 円)
( ) (約 円)
( ) (約 円)
控除する金額 約 円(合計)
(5)手取り支給額(3-4) 約 円(合計)
※欠勤等がない場合であって,時間外労働の割増賃金等は除く。
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