令和4(2022)年4月から、これまでの製造3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野)を、
「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」に統合されています。
この記事は、統合前の個々の分野の説明ですが、制度の内容を知るうえで、引き続き参考としてください。
外国人の就労と在留資格「特定技能」
私たちの周りでは、日常的に、観光する外国人の方以外にも、屋内、屋外で働いている姿をよく目にすることが増えてきていると実感します。
では、これらの外国人は、自由に日本国内で働くことができるのでしょうか。
外国人の方が、日本で働くには、働くことが認められた場合に限ります。そのためには在留資格を持つ必要があります。
たとえば留学生が、コンビニの店員をしている例が多いですが、本来彼らは、勉強をするのが目的で日本での活動が認められているところですが、一定時間内であれば許可をもらい就労できます。同じように、就労している外国人の方は、何らかの資格を得ています。
今回は、比較的新しい「特定技能」という在留資格について説明します。
どういう流れで、できた制度?
日本は、人口減少、高齢少子化などが急激に進み、これまで支えてきた社会基盤の変化により勤労人口も減少傾向にあり、特に人手不足が深刻な中小・小規模事業者などを対象に、一定の専門的知識や技能を有する外国人の就労を認める制度として、2019年4月からスタートしました。
どれくらいの人数がいるの?
2021年3月末日現在の特定技能1号在留外国人は、22,567人(2020年9月末速報値では、8,769人)います。
分野別では、飲食料品製造業分野が8,104人(35.9%)、農業分野3,359人(14.9%)、建設分野2,116人(9.4%)、産業機械製造業分野1,937人(8.6%)、介護分野1,705人(7.6%)・・・の順で、上位3分野で60%を占めています。
出身国は、ベトナム14,147人(62.7%)、中国2,050人(9.1%)、インドネシア1,921人(8.5%)・・・の順です。
都道府県別では、愛知県2,027人(9.0%)、千葉県1,661人(7.4%)、東京都1,417(6.3%)…の順、また、岐阜県534人(2.4%)、三重県474人(2.1%)です。
中小・小規模事業なら何でもいいの?
この制度は、生産性向上や国内人材確保の取り組んでもなお、人手不足が深刻とされる特定の産業分野に限られます。
現在、次の14分野に導入されています。
・介護(身体介護(入浴、食事などの介助)など、訪問系サービスは対象外)
・ビルクリーニング(建築物内部の清掃)
・素形材産業(鋳造、機械加工、金属プレス加工、溶接など)
・産業機械産業(鋳造、塗装、プリント配線板製造など)
・電気、電子情報関連産業(機械加工、電子機器組み立て、工業包装など)
・建設(型枠施工、土工、電気通信、鉄筋施工、建設機械施工など)
・造船、舶用工業(溶接、塗装、機械加工など)
・自動車整備(日常・定期点検整備・分解整備)
・航空(空港グランドハンドリング、航空機整備)
・宿泊(フロント、企画広報、接客など)
・農業(耕種農業全般、畜産農業全般)
・漁業(漁業(漁具機械操作、水産動植物の探索・採捕など)、養殖業)
・飲食料品製造業(飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工、安全衛生全般)
・外食業(飲食物調理、接客、店舗管理全般)
技能実習制度と何が違うの?
「技能」というと、まずは技能実習生のことかと思われるかもしれませんが、特定技能と技能実習とは、なにがどのように違うのかと疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで少しその違いを簡単に触れておきます。
(1)目的
特定技能制度は、日本国内の深刻な人手不足に対応するためのもの。
一方、技能実習生制度は、日本の技能・技術・知識を開発途上国に移転して、その国の経済発展を担う人材づくりに寄与するものです。
(2)技能水準
特定技能は、就労する分野に相当程度の知識や経験を要求されるのに対し、
技能実習生には、特に必要とされていません。
よって、特定技能の入国時には、技能水準、日本語能力の試験合格が条件となります。
(3)活動内容
特定技能は、その有する専門技術に対応する特定の分野での業務に限られ、
技能実習は、技能実習計画に基づき講習を受けた業務に従事することになります。
(4)転籍・転職
特定技能は、同一業務区分、共通性のある技能水準の業務区分間は認められますが、
技能実習は、原則できません。
(5)在留期間
特定技能1号は、通算5年ですが、
技能実習は、類型により1年以内、2年以内、最長で5年です。
(6)制度の当事者
この制度に関わる当事者は、特定技能の外国人と特定技能所属機関、登録支援団体、監理団体があります。
「特定技能所属機関」:特定技能として外国人を雇用し、受け入れ、支援する企業のこと。
「登録支援団体」:特定技能所属機関からの委託により、一定の特定技能外国人の職業生活、日常生活、社会生活上の支援をする団体のこと。
「監理団体」:技能実習生の募集、現地での面接、受け入れ、受け入れ企業の適正実施を監査、指導する団体のこと。
4 特定技能には、2種類ある
特定技能には、1号と2号の2種類があります。
(1)知識・経験の差
相当程度の知識・経験を要求される技能で業務する「特定技能1号」、さらに熟練した技能を要する業務には「特定技能2号」があり、「1号」は、14種類の全てに、「2号」は、建設、造船、舶用工業に限られています。
(2)その他の違い
・日本語能力水準
「1号」:生活や業務に必要な日本語能力を試験で確認(技能実習2号を終了した者は試験等免除)
「2号」:試験等での確認不要
・家族の帯同
「1号」:基本的に認められません。
「2号」:要件を満たせば配偶者・子の帯同が可能
・支援(入出国時の送迎、日本語習得、相談、苦情対応等)
「1号」:特定技能所属機関、登録支援機関による支援
「2号」:支援対象外
5 どういう外国人がなれるの?また、その他の要件は?
18歳以上、健康状態が良好、退去強制の円滑な執行に協力する外国政府の発行するパスポートを所持、保証金の徴収等がされていない、食費、居住費等定期に負担すべき費用の対価として供与される利益の内容を十分理解、合意かつ実費相当額その他の適正な額、明細書その他の書面が提示されているイ、分野に特有な告示基準に適合しているなどです。
企業が特定技能者を受け入れするには
外国人を特定技能として受け入れる企業には、一定の基準をクリアする必要があります。
1受け入れ機関の基準
(1)外国人と結ぶ雇用契約が適切であること。
例:報酬額が同じ業務に従事する日本人との報酬額が同額かそれ以上である。
(2)企業自体が適切であること。
例:5年以内に出入国在留管理法、労働法令に違反がない。
(3)外国人を支援する体制があること。
例:外国人が理解できる言語で支援できる。
(4)外国人を支援する計画が適切であること。
2受け入れ機関の義務
(1)外国人と結んだ雇用契約を確実に履行していること。
(2)外国人への支援を適切に実施していること。
(3)出入国在留管理庁への各種届出をしていること。
これらを怠ると、外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導や改善命令などを受けることがあります。
たとえば宿泊業の分野での受け入れの例(概略)
以下、宿泊業の分野での特定技能受け入れについて、簡単に説明します。
ここでいう宿泊業とは、日本標準産業分類の宿泊業としての旅館・ホテル業、その他の宿泊業(簡易宿泊営業、下宿営業は対象外)をいいます。
(1)業務に必要な相当程度の知識又は経験を必要とする技能による業務
例:フロント、企画、広報、接客、レストランサービス等に幅広く従事すること。
なお、関連業務への付随的従事できるものには、日本人が通常従事する施設内の土産物等売店においての販売業務、備品の点検・交換業務が挙げられますが、これらに専従することはできません。
(2)特定技能所属機関(受け入れ企業)の条件
①特定技能雇用契約を締結すること、②法令等の違反による欠格事由に該当しないこと、③支援体制を構築すること、④国土交通省設置の協議会の構成員になること等が必要です。
(3)特定技能所属機関の基準
①労働、社会保険、租税に関する法令を遵守していること、②自発的でない従業員の離職がないこと、③機関の責めによる行方府営者がないこと、④関係法令による刑罰を受け、その執行が終了又は受けることがなくなった日から5年を経過していることなどがあります。
まとめ
外国人が、日本で就労するには、これまで、経営・管理、法律・会計業務、教育などの専門的な能力や大学卒業、長年の経験などを有する人材の活用や
国際貢献として開発途上国などの外国人に日本の技術を実習を通して技能移転する技能実習などでしたが、
この特定技能は、相当な知識や経験を要しますが、一定の産業分野の深刻な人手不足に対応するためのもであるため、今後、さらに活用が増えていくことが期待されます。
詳しくは、こちらをご覧ください。
*なお、これより「特定技能」についての詳細な説明をしていきますので、画面最下部にあります「特定技能の手続き」の「関連記事」が表示されておりますし、そこに表示されていない他の記事も「関連記事」の上の「特定技能の手続き」や記事の最下部の「PREV」「NEXT」をクリックしていただければご覧いただけます。
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